坂口安吾(小説家)
大義名分を捨てて赤裸々な心になることが自分自身を救う条件です。
「これ以下の場所はない」という、最悪の場所に身を置いたとき、本当の自分がわかり、
どうやって自分を救えばいいのかがみえてきます。
「弱いのは、決して恥ではない。その弱さに徹しえないのが恥だ」と島崎藤村(詩人・作家)も
言うように、中途半端にごまかさず、失敗や劣等感、欠点を追求することによって
自分自身を発見することができるのです。
「もう、ダメだ」と叫びたくなるほどの努力を、今まで何回ぐらいしましたか?
7月4日
世のなかの不条理に悩み、自分の力不足を嘆き苦しむときには、
文学に浸ってみるのもよいでしょう。
「文学は心の中の悪の可能性を浄化し、整えて、生きることへの新鮮さを取り戻す」
(中野好夫『文学の常識』)といいます。
多くの作家は自分の心の内面にもつ矛盾や問題を、小説という形で表現しています。
文学者でなくとも、苦悩は人生を真剣に考える人にとっては、むしろあって当たり前の
ことです。
私たちは、さまざまな苦悩の姿を描いた文学作品を読むことで、抽象的だった
心の苦しみ、悩みを具体化することができます。
具体化すると、みえないこともみえてくるのです。